動物にせまる絶滅の危機
絶滅が危惧される動物というとトラやパンダなどの哺乳類が印象深いですが、爬虫類と両生類も哺乳類と同じく、種の種類がそれほど膨大ではありません。爬虫類はトカゲ約4000種、ヘビ約3000種、カメ約300種、ワニ23種、両生類は約4000種ほどが記録されていますが、両者ともあまり知られておらず比較的研究も進んでいません。爬虫類の全体の約5分の1と両生類の約8分の1のみが、 科学者により正式に保護状態を調査されているにすぎないのです。
現在の地球では人類が行う乱獲や開発による生息環境の破壊のために多くの野生動物が絶滅の危機に瀕しています。ネコやワニ、トカゲ、ヘビの仲間は毛皮や皮を、ゾウやサイは牙や角を利用するために殺されています。野生動物の保護のために国際間の取引を規制したワシントン条約や生息地そのものを保護する活動もありますが、減少傾向にある動物そのものの保護増殖も重要な役割のひとつです。私たちは動物というすばらしい仲間を守り、次の世代に引き継がなければなりません。
(ワシントン条約)対象種一覧
絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約。アメリカのワシントンで採択され、1975年に発効された。 条約の目的は、野生動植物の国際取引を輸出国と輸入国が協力して規制することにより、絶滅のおそれがある野生動植物の保護をはかろうとしたものです。
規制対象の野生動植物は、絶滅のおそれの度合いに応じて規制内容の異なる「附属書 Ⅰ 」「附属書 Ⅱ 」「附属書 Ⅲ 」の3つに分かれ、約5,000種の動物と約28,000種の植物が附属書に掲載され、規制されています。また、どの附属書に、どの生き物を載せるかは、2年ごとに開かれる ワシントン条約締約国会議(条約に加盟している国の政府の代表が集まって話し合う国際会議)で話し合われます。
付属書Ⅰ
ジャイアントパンダ、ツキノワグマ、ゴリラ、トラ、オオサンショウウオ、コモドオオトカゲ
など約1000種
付属書Ⅱ
ホッキョクグマ、グリーンイグアナ、ミズオオトカゲ など約34000種
付属書Ⅲ
国ごとの指定による。セイウチ、オコジョ、スペングラーヤマガメ など約300種
Ⅰに掲載されたものは、商業目的の国際取り引きは禁止され、学術目的の国際取引にも 輸出国と輸入国の政府が発行する許可書が必要となります。Ⅱ、Ⅲに掲載されたものは、商業目的も可能ですが輸出国政府の発行する許可が必要となります。日本は1980年に加入しました。現在182カ国が加盟しています。
最近は、動物を遊び半分に銃撃の的にし、銃で撃ったりするゲームハンティングなどをする人もいます。このような事をするのはごく一部の人ですが、こんな事は絶対にあってはいけません。森に住む動物も、海に住む動物も、人間も、みんな同じ地球に住む動物です。一つ一つの命を大切にしましょう。



熱帯雨林に住む動物の危機
熱帯雨林とは赤道を中心とした熱帯の中でも雨量の多い森林のことです。全世界の生物種の半数以上が熱帯雨林に生息しているとも言われており、また、大気中に含まれる酸素の40%は熱帯雨林によって供給されたものと見られています。現在、地球上には少なくとも1000万種の生物がいますが、熱帯雨林に住む生物の絶滅はもっとも深刻です。
森林破壊の原因は地域によって異なりますが、世界資源研究所は、破壊の最大の脅威は木材や紙生産のために行われる商業伐採であり、鉱業開発、農地や牧草地への転換等がそれに続いていると報告しています。また、森林が最終的に農地や牧草地、産業植林地などに転換される過程において、商業伐採がその最初の段階における役割を果たしているという意味でもその影響は大きいです。
この様に人間が木をどんどん伐採するせいで森林の面積は急速に減っており、こうした森林の破壊により毎年4000~6000種もの生物が絶滅に追いやられていると考えられています。
熱帯雨林の消失により十分な調査研究がなされず、名前さえ付けられないまま1日10数種の種が滅びており、いま人間が何も手を打たずにこのまま絶滅が進んでいけば今世紀末までに100万種の動物が絶滅の危機にさらされる恐れがあります。
1982年に国連食糧農業機関と国連環境計画から出された「熱帯地域の森林資源」によれば、地球の総面積の3分の1に相当する40億haが森林におおわれており、そのうち熱帯雨林は半分の19億4000万haとなっています。地域別ではラテンアメリカが9億haで最も多く、アフリカが7億ha、アジアが3億4000万haになっています。
しかし熱帯雨林は年間1130万haの割合で減少してしていて、これは日本の本州の約半分の量に相当します。すでに本来の自然の40%が失われていると考えられています。